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2010年8月

atプラス05 特集「コミュニティへの構想力」などから

きみはひとりでどこかにいく Book きみはひとりでどこかにいく

著者:大塚英志,七字由布
販売元:太田出版
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浜田小のコミュニティ・ルームで子どもたちにやってもらって

もと思いながら、著者の大塚英志が宮台真司とこの絵本つ

いて対談しているのでatプラス05特集「コミュニティへの構

想力」を初めて読んでみて、とても読み応えがあった。

 

まず巻頭特別インタビューが、水野和夫・ポスト近代の

『リヴァイアサン』のために「長い21世紀」に進行する

4つの革命と脱近代の条件

8月11日の『資本主義2.0』で島田裕巳との対談で言って

いることがさらに解りやすく述べられている。小見出しの

「民主主義を時代遅れにしたグローバリゼーション」「近代

の終焉とデフレ」「インフレ社会からデフレ社会へ」「ポスト

近代の条件は脱化石燃料社会」「長い21世紀に進行する

四つの革命」・・・長い16世紀(1450年~1650年)には、(1)

利子革命→中世社会の先進国であったイタリアのジェノ

バで2%を下回る超低金利が1611年から21年まで11年間

続いた。日本では、10年国債の利回りが下がり下がって

2%を97年9月に割って依頼13年目に入ろうとしている現在

1%をも割ってしまった。(2)貨幣革命→16世紀には、国内

の経済で思うように利潤の得られなくなったスペインは、

南米のボリビアの銀山から銀を略奪し、その貨幣で雇った

兵力でポルトガルやオランダを侵略しようとした。現代になる

と、日本では道路を作り、飛行場をつくるなど実物投資で利

潤が上がらなくなった資本の現状打開のために、1995年に

アメリカでクリントン政権の財務長官になった、ゴールドマン

サックスでサヤ取りの名人として鳴らしたルービンが、「強い

ドルはアメリカの国益」と宣言し、編み出されたのが金融の

レバレッジ空間であり、2008年のリーマン・ショックまでの間

に100兆ドルもの巨大な金融資産を生み出した。紙幣にプラ

スして株券・債権といった信用だけの21世紀の貨幣革命。

(3)価格革命→13世紀末~15世紀にかけて地中海世界から

小麦が北進し、イギリスでは食料品が150年の間に10倍にも

なった。現代では原油はもとより、あらゆる鉱物資源、食料資

源が高騰しはじめてている。(4)賃金革命→企業は生産品の

材料が高騰すれば、賃金を下げて利潤を生み出すしかない。

日本の1人当りの名目賃金は、97年1月から3月期にピークを

付けて以降、下降局面に入り、2010年1月から3月期時点で、

10.9%も減少。(実質賃金では10.7%の減少)一方企業の

営業利益は、97年年度の32兆円から07年度には49.5兆円へ

と、1.5倍以上に増加。資本と労働の成果として生み出される

付加価値は、現在全て資本の側へ回されていることがわかる。

16世紀にもイタリアの実質賃金は50%低下し、イギリスでは

1477年をピークに1597年には、ピークの24%まで低下した。

・・・・16世紀の不当利得者はブルジョアジーになって資本主

義を誕生させましたが、21世紀の不当利得者たちが貯め込

んだお金は何を生み出すのでしょうか・・・という編集部の問い

に、95年以降創出した世界の余剰マネーは100兆ドル(現在

のレートで約8500兆円)にも達し、新興国経済は20兆ドルで

そのうち総固定資本形成に必要なお金は、そのうち最大で3割

なので6兆ドルあれば十分、残りの巨大な余剰資金が利潤を

求めて世界中を動き回らざるをえない現状、との答え。

★現政府のチーフエコノミスト水野氏の結論は、利子率革命し

かり、1970年代以降,日本は欧米より10~20年先行してい

る。日本のバブル崩壊以降のことが、現在欧米で後付けされ

ているし、世界に先駆けてデフレ状態にも陥っている。財政再

建でも橋本政権が消費税の引き上げをして退陣となったので、

その後の政権は経済成長をあてにして再建策を考え、失敗の

連続だった。近代資本主義の成長ありきの時代は終わった、

今の菅首相の増税により強い経済をつくるのも難しそう。定常

状態の経済を前提にして、どうやってバブル崩壊後につくって

しまった860兆円もの国の借金を返済していくかを考えないと、

まだバブルの後始末は終わっていはいない。ポスト近代の肝

はエネルギー革命だと思う、高速道路無料ではなく、モノの

移動を一定の経済圏で(地産地消)、地域の再生を図りながら

情報の移動はインターネットで自由に行える社会。日本は世界

に先駆けてポストモダンに入ったのだから、21世紀の『リヴァ

イアサン』をどの政治学者が書くのか、『ドン・キホーテ』をどの

作家が書くのか・・・・

atプラス 05 Book atプラス 05

著者:上野 千鶴子,大塚 英志,濱野 智史,鈴木 一誌,山折 哲雄,岡崎 乾二郎,岩根 邦雄,岸本 幸子,宮台 真司,広井 良典,山下 範久,橋本 努,水野 和夫
販売元:太田出版
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広井良典

「創造的福祉社会」の構想 

資本主義・社会主義・エコロジーの交差とコミュニティ

〝生産性が上がりすぎた社会〟

〝社会的セーフティネットの構造と進化〟

〝「もっと上流にさかのぼった社会化」の意味(註・若年層へ

   の社会保障)〟

〝コミュニティというセーフティネット〟

〝「創造性」の再定義・・・定常型社会と創造性〟

などの中で「環境福祉税」の提案をしている。税収をドイツ・

オランダ・デンマークなどに倣い、それらの国ではまだなされ

ていない税収の使い道として、介護労働の価値を高め、労働

生産性から環境効率性へのシフトを促進する。

〝「生産性」の再定義-環境・福祉・経済の相乗効果〟フィン

ランドでは、「すべての市民に対する社会保障、無料の学校

教育等によってもたらされる市民の幸せと社会の安定は〝特

許のないイノベーション〟」であり、「あく市社会と競争力はた

がいにパートナー」という理念の下での様々な政策展開やシス

テムづくりを行っている。フィンランドの場合、大学の学費無料

はもちろん、月額最大811ユーロの『勉学手当』を支給してい

る。「創造性」と言うと経済競争力や技術革新と言ったことと連

動して考えられ、「成長・拡大」の時代には、市場化・産業化・金

融化と言った「一つの大きなベクトル」に人々が拘束され、その

枠組みの中でものを考え行動することを余儀なくされいる。

たちがこれから迎えつつある市場経済の定常化の時代とは、

そうした「一つの大きなベクトル」や(義務としての)経済成長から

人々が解放され、真の意味での各人の「創造性」が発揮され開

花していく社会・・・

〝「生産性」の再定義ー環境・福祉・経済の相乗効果〟

これまで生産性とは「労働生産性」、つまり少ない労働力で多く

の生産を上げることと考えられてきたが、現在の先進諸国では、

構造的な生産過剰と慢性的な人余り(=失業)が生じている。こう

した時代には、むしろ『人』を多く活用し、逆に自然資源を節約す

ることが重要で、生産性の概念を労働生産性から環境効率性

ないし資源生産性へ転換することで、介護・福祉・教育といった

分野でこれまでの尺度とは全く違った新しい意義と価値が生ま

れ、そうした労働集約的な分野へ資源配分をしてゆくことが経

済にプラスする、として、社会保障の充実は経済にとってマイナ

スになるものではなく、「創造的定常経済システム」「創造的福

祉社会」とよぶべきありようを構想する時期ではないかといって

いる。

★この広井の現状を打開する積極的提案に、東浩紀は朝日新

聞の論壇時評で、「経済成長による雇用確保には限界があり、

したがってセーフティネットは市場経済の外部、すなわち共同体

に求めるしかないと主張する。共同体の復活が日本再生の要だ。

説得力のある議論だが、肝心の共同体はどこにあるのか。家族

の再生、地域の再生、国家の再生を訴える論はありふれている。

・・・・ここで必要なのは発想の大胆な転換だろう。議論を「あるべ

きすがた」から始めるのではなく、「いまあるすがた」から始めたら

どうか。こま観点で興味深いのは濱野智史の「情報社会における

新たな時間制と共同性の可能性」atプラス5だ」といっている。

私たちもピョン太文庫で、かつてあったはずの共同体の幻を求め

て苦心惨憺していますが、私の知る範囲では、「水戸こどの劇場」

などで活躍しているわれわれよりも若いおかあさんたちの方が、

より現実に即した形で積極的に現状社会にコミットしていて頼もし

く、うらやましいと思っています。大きな公共事業よりも、社会に小

さな穴を開け続ける作業をしてゆくことの継続が必要ですね。彼女

たちはしっかりと情報化の武装も怠りありません。

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「70歳以上の方のために、パソコンの初歩」開催します。

江橋長光記念高齢者福祉基金助成により

先着100名様に

 

「70歳以上の方限定、パソコンの初歩」

90分間5回で1000円、参加者募集

1.月、水、木、金の午前10時~90分間

2.入会金1,000円、参加料1000/5

(6回目からの参加料は500/190)

3.ワード、エクセル、メール、インタ

 ーネットを教ます。

お問い合せは℡221-3951事務局・新井

要・身分証明できるもの

合わせて9月から★ピョン太文庫の

「初心者向けパソコンサロン」が、

参加料を大幅に値下げして、参加し

やすくなりました。

1.参加料90分で600円、入会金2000

2.午後の部・月~土曜の1時半~90分間

3.夜の部・水、木、金曜の6時半~90分間

お問い合せは℡221-3951事務局・新井まで

※パソコンボランティアの方も募集中

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絵本交流館・ピョン太文庫「まんが塾」近々オープン

ピョン太文庫「まんが塾」近々オープン

第1回は浜田小コミュニティ・ルームで

  小学生を対象に10月までの土曜日に開催します。

講師に予定している「さかいひろこ」さんは石岡市高浜在住の

NHK出版『おっぱいがたいへん』ほかを描かれている、ネット

で拝見すると東西に大活躍の女性です。ご期待下さい

http://www001.upp.so-net.ne.jp/op-taihen/ 

http://ishigami-iwate.jp/tenji/2009_dogu.htm

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島田裕巳・水野和夫著『資本主義2.0』

資本主義2.0 宗教と経済が融合する時代 Book 資本主義2.0 宗教と経済が融合する時代

著者:水野 和夫,島田 裕巳
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

1995年を境にしてそれまでの「資本主義1.0」の時代から

から「資本主義2.0」の時代へと移行した。オウム真理教問題

で著名で、『葬式はいらない』で葬儀ブームを巻き起こした宗

教学者と、このほど菅総理の市場経済指南役に任命されたエ

コノミストの「目から鱗」本、なんと2年も前に発刊されていた。

竹中・小泉の「改革なくして成長なし」はいまでも支持が多いら

しいが、本書34ページには「改革をしなくても成長する」を証明、

とある。2008年1月時点での10年物国債利回りは1.5パー

セントを割っている(2010年現在では1%をも割ってしまった)。

1995年に資本主義の断絶が起きたと考えれば、竹中・小泉の

「改革なくして成長なし」は古い資本主義に基づく発想で、グロ

ーバル時代の資本主義のもとでは、BRICsの近代化と連動して

景気が回復するので、改革なくしても成長は可能。デフレから脱

却できない日本の経済は、グローバル化により外(BRICs)のイン

フレ(成長)と連動して、景気が回復する。

103ページ・よみがえる16世紀の亡霊「価格革命」

中世の荘園制社会では、ゼロインフレが数世紀にわたって続

いていたが、16世紀になって当時の先進国である地中海世

界がオランダやイギリス、そして穀倉地帯の東欧、ロシアと一

体化した。その過程で貨幣が必要になった。当時のオランダや

イギリスは現在のBRICsで、定常状態の経済が拡大に転ずる

ときには、貨幣量の増大が不可避であった。貨幣の流通速度

を上げるのには、金融技術の高度な発達を必要とするが、そう

いった技術はまだ発達していなかったので、大航海時代に南米

(スペインのインカ帝国征服など)から銀を大量にヨーロッパへ

持ち込み、その結果経済活動が活発になり、人口増に最も必

要な小麦の価格が暴騰し、6~8倍になった。これが「16世紀

の価格革命」で、南米の在来文明が略奪の対象になった。しか

し現在ではグローバル化で国境がなくなり、資本主義の略奪の

対象は域内(国内)におよび、それは内戦とよぶにひとしいと五

木寛之も言っているとか。現在の貨幣の膨張は、株式や債券

が加わることによってさらに膨大なものになり、株式・債券の貨

幣化現象こそが、「21世紀の価格革命の」の第一幕で、「資源

・食料の価格革命」が第二幕であると。16世紀のオランダ・イ

ギリス・東欧・ロシアの人口増にあたるのが現在のBRICs(人

口28億人)である。専門的な貨幣交換方程式で説明すれば、

「M(貨幣量)V(貨幣の流通速度)=P(物価水準)Т(経済の取引

量)」となり、ここで問題となるのはM(貨幣量)で、「資本主義1.

0」でのMはマネーサプライだが、「資本主義2.0」になると、M

は株式時価総額なども含めた、金融資産残高になる。そしてこ

れまで金融資産残高が急増したのは、21世紀の資源・食料の

『価格革命』に備えてのことだった。エネルギーや食糧の価格が

上がれば、先進国の中での打撃は低所得層に大きい。「資本

主義1.0」を政治的な側面からとらえれば、主権国家建設(中

産階級の台頭)のプロセスで、「資本主義2.0」になるとこれが

解体のプロセスへ向かうと。

資源・食料がなく、低価格化する一方のハイテク製品をつくっ

ている日本の、私たち低所得層はこのままではさらなる「資本主

義2.0」の第3幕以降の打撃にボコボコにされるのだろうか・・・

内田樹流に言えば、日本のエスタブリッシュ何とかしろ、と言い

たくもなる。こうなれば、「おたがいさまの世の中」復活の夢でも

みようと昼寝でもしたいが、この暑さにクーラーもなく熱中症にな

りそうだ・・・・

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8月の無料名画鑑賞会「おとうと」

8/8と8/22の日曜日・午後1時30分~

絵本交流館・ピョン太文庫の

無料名画鑑賞会は

おとうと<通常版> [DVD] DVD おとうと <通常版> [DVD]

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昭和38年東京オリンピック以前の昭和について(1)

保坂正康著『田中角栄の昭和』

田中角栄の昭和 (朝日新書) Book 田中角栄の昭和 (朝日新書)

著者:保阪 正康
販売元:朝日新聞出版
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7/29朝日新聞・論壇時評に東 浩紀が書いている。

 菅直人首相の政策ブレーンとして知られた小野善

康は、増税と経済成長の両立が可能だと説く。小野

理論は学会で異端とされているようだが、不況の原

因はせんじ詰めれば、消費者が金を使いたがらない

こと、モノへの欲望が枯渇していることにあるとの指

摘は直感的には頷ける。しかし、もしそうだとすれば、

枯渇した欲望を増税と再配分で刺激するのも限界

があるのではないか。不況の原因が社会心理にある

のだとすれば、経済政策でできることは限られてしま

う。↓ ※関連したことが「小幡績PhDの行動ファイナ

ンス投資日記」6/27の「学会と政治」
http://blog.livedoor.jp/sobata2005/archives/2010-06.html

松岡正剛の「ISIS本座」千夜千冊連環篇1372夜

http://www.honza.jp/senya/1372にもある。

 →保坂正康。田中角栄の本格的評伝。「個人は物量

をもって、国家は経済社会の繁栄をもって最大の幸福

を得るという信念」のもと、理念なき政治を断行するこ

とで逆説的に社会の解体を導いてしまったという保坂

が描く田中像は、現代の問題を考えるうえで示唆に富

む。田中以降、誠治は経済の話しかできなくなってしま

った。というよりも、そのような歪んだ政治を求める国民

の欲望の鏡として田中は現れた。私たちはいまだその

呪縛に囚われている。モノへの欲望が枯渇した時代に

おいて、政治とは、そして幸福とはなにかを考えること、

それは「田中角栄の昭和」を終わらせることにほかなら

ない。(朝日新聞7/29より)

 田中角栄が佐藤栄作のあと首相になったのは昭和

47年7月から49年12月までで、54歳から56歳の間であ

った。

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