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アンジェイ・ワイダ『カティンの森』

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1926年生まれ84歳の監督の3年前、81歳の作品。監督の

父親はポーランド軍の大尉で、実際にカティンの森でソ連軍に

よって虐殺されている。映画の主人公は大尉の、何とも東欧

的な美しさをしのばせる妻。準主役に大尉の司令官(大将)の

妻と娘たち。彼女たちも何とも西洋的ではない芯の強さをしの

ばせて美しい。作中後半、反ソ行為で逃亡中にソ連の車両に

はね殺されてしまう美術を志す妻の甥に、監督の姿が映って

いるようだ。

ワイダ監督は、青年時代に浮世絵などの日本美術に感銘を受

けて芸術を志し、戦中は対独レジスタンス(対ソも)運動に参加、

1954年に『世代』で映画監督デビュー。56年の『地下水道』、

58年の『灰とダイヤモンド』とたて続けに、反ソ化したレジスタン

スを描いた話題作をつくり、それらは「抵抗3部作」とよばれた。

後年京都賞を受賞し、その賞金でワルシャワに日本美術センタ

ーを建設した。

ソ連兵が拳銃で、ポーランド軍将校の後頭部を撃ちぬくシーン

の連続、ワイダ監督のリアリズムは時を超えてポーランドの人

々の継続する嘆きに思える。太平洋戦争を語り伝える番組で、

80歳90歳の旧日本兵の方々が必ず言っていた、「軍隊では

命令が絶対、戦場で敵を殺さなければ、軍法会議で死刑。生き

て帰ればもう一度突撃して死んでこいと」。

私など生き死にの体験はできればしない方がよいと思っている

が、敗戦後それが日本の現代の幼児化・未成熟の系譜に繋が

っているものだと下の本の中では論じられていて、興味深い。

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同じポーランドのワイダより12歳若いイエジー・スコリモフスキ

監督の墨絵のように美しい絵画的な「男の純愛作品」。映画っ

て素晴らしい表現法だ、といいたい。日本でも同じようなテーマ

の作品があったが、残念なことに現代の消費社会・日本では

愛の対象の女性がモノとして扱われ変態のように描かれてしま

う。その方が売れるからだろうか、それとも日本は内向きで未成

熟な社会だからだろうか。

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