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『バペットの晩餐会』つづき

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1989年シネセゾン発行、アイザック・ディーネセン作

・岸田今日子訳『バべットの晩餐会』の解説から・・・

1985年のアカデミー作品賞として記憶に新しい『愛

と哀しみの果て』の原作「アフリカの日々」を著わし

たデンマークの女性作家アイザック・ディーネセン(

本名カーン・ブリクセン)の短編小説がこの映画の原

作。1950年にアメリカの雑誌「レディーヌ・ホーム・ジ

ャーナル」に掲載されたものです。とてもおだやかな

空気につつまれ、ゆっくり時間が流れているようなデ

ンマーク・ユトランドの海辺の村が舞台です。実は、

原作では、ノルウェーの海辺の村が舞台でした。で

もこの優しい物語を映像にするのに、険しいフィヨル

ドに比べてよりやさしい海岸線の風景をもつユトラン

ドを選んだのは、正しい判断だったでしょう。この村

に澄む素朴で謙虚な人々と、1871年のパリ・コミュー

ンの戦塵のなか家族を失い、母国を捨ててきたフラ

ンス女性との交流や、老人たちが集まって開かれた

晩餐会の描写に、とても質のよいユーモアが満ちて

います。監督のガブリエル・アクセルは、1918年パリ

生まれのデンマーク人。・・・落ち着いた色調の映像

は、フェルメールの絵画のようであり・・・1987年度ア

カデミー外国映画賞を受賞。

中沢新一氏は書中で、

 一度だけ、生涯にたった一度だけ。

 ずっと、このままずっと、いつまでも変わることなく。

 はじめからおわりまで、この映画の中では、「一度

だけ」と「ずっと」という二つの言葉が、まるで通底音

のように聞こえてくる。この映画の人間たちは「ずっ

と」と「一度だけ」のあいだを、大きな振幅で生きてい

る。『バべットの晩餐会』は、そこにプロテスタントの

牧師さんの一家のことや、教会にやってくる熱心な

ピューリタンの村人のことが描かれているから、宗

教的な映画なのではない。「一度だけ」と「ずっと」と

いう二つの言葉のあいだで、大きく振れ動いて生き

た人間のことを描いていることによって、この映画

はヨーロッパ人の魂の底にまで届くような、深さをも

つようになっているのだ。・・・つづく

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