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橋本 治の「昭和三部作」

巡礼 Book 巡礼

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橋 Book

著者:橋本 治
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リア家の人々 Book リア家の人々

著者:橋本 治
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水戸市立図書館に3点とも蔵書していますので、

皆さんぜひお読みください。もちろん買ってお読

みいただければ著者のためにも。

私はなぜか「リア家・・・」がもっとも早く図書館で

用意されたので、そこから「巡礼」へ読み進み、

現在「橋」を読みだしたところです。

「リア家」で1968年前後の話では涙も出てきまし

た。三女の彼氏(石原君)など自分も含めて、

身に覚えあり。

以下ネット上にあった東京新聞から拝借しました。

東京新聞【土曜訪問】・・・転載

リアルないびつさ求め 

   

   昭和の日本人を描く

 

     橋本治さん(作家)

2010年8月14日

 先月末に出た作家橋本治さん(62)の最新作『リア家の人

々』(新潮社)は、題名にとったシェークスピアの『リア王』の

ように、父親と三人の娘たちをめぐる物語である。

 王の代わりを果たすのは一九〇八(明治四十一)年生まれ

の文部官僚。軍国教育に関わったとして公職追放になり、復

職を果たすものの妻は癌(がん)で亡くなる。上の娘二人は

父への愛憎を抱えながら結婚。末娘は父の世話をしながら

大学に。全共闘運動が盛り上がる六八年の十月、還暦を迎

えた父は政府の「明治百年記念式典」に出席。ほどなく末娘

の就職が決まる-。

 時代のうねりや、変わっていく家族のかたちに抗(あらが)

うすべを持てないまま、いつしか自分の意見を言うことがで

きなくなり、寂しさを抱える一人の男。その人生の軌跡は、

読む側に多くのことを考えさせる。

「私のなかでは、この六八年ごろに、ひとつの時代が終わっ

たという意識があるんです。家族のかたちとしてあったものが、

もやの中ですーっと解体されていって、それが実は家族の外

の世界でも、ひとつの変化だったという感じを、小説で出した

かった。七〇年に入ると別の時代がきているという感覚があ

るので。小説に即して言えば、三人の娘たちはウーマンリブ

という単語を知らないで生きているが、七〇年からウーマン

リブ運動が始まるんです」

 取材場所に指定された新潮社内の会議室で、小説の下地

になっている時代への皮膚感覚を話してくれた。

 物語の中心に据えられた一九六八年。現代史の転換点の

一つだったその年は、このところ「1968」として様々なジャン

ルで注目され、出版も相次いだ。その当時、東大二年の橋本

さんが生み出した「駒場祭」のポスターのキャッチコピー<とめ

てくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大

どこへ行く>が流行語になった年でもある。

 大学紛争が激しさを増すなか、全国各地で入試が中止にな

り、六九年一月には東大の安田講堂事件もあった。そうした

史実が、小説では感情を交えない冷徹な筆致で描かれている。

「シェークスピアの『リア王』では実は、王がほっぽり出されて

嵐の中をさまよっているシーンが、けっこう長いんです。でも小

説の設定を日本に置き換えた場合、一個人を追い詰めてしま

う精神的な象徴って何だろうと考えたとき、ああ全共闘かと思

い当たったんです」

 ごみ屋敷で暮らす老人を通して戦後日本の断面を描いた

『巡礼』(新潮社)が昨年夏に刊行されたのに続き、ことし初め

には、実際にあった殺人事件をもとに二人の女性を描いた

『橋』(文芸春秋)が出た。ともに、昭和という時代を生きる日本

人に焦点を当てているという点で、今回の『リア家』と合わせ

「昭和三部作」とすることもできる。

「一年ちょっとの間に書いた三作だから、まあ、似ちゃっている

のもしょうがないかなとも思うんです。もしかしたら先があるか

もしれません。ただ『巡礼』を書き終わった後に、『橋』と『リア家』

の構想があったことだけは確かです」

 著者としては、『橋』は『巡礼』と『リア家』の接着剤なのだとい

う。「じいさん、女の話と続いて、最後はじいさんと女の話ですか

らね」。いたずらっぽく笑いながら解説した。

 小説のほかの仕事としては、ことし四月に「失われた近代を

求めて」と題したシリーズの第一巻『言文一致体の誕生』(朝日

新聞出版)も出た。橋本治流の文学史論である。

「小説を書くための特別な取材みたいなものを、ほとんどしな

いんです。小説ではない仕事の調べものがいわばフィールド

ワークになっていて、そういう本になっているんです」

 一月に出た、六人を相手にした対談集『TALK』(武田ランダ

ムハウスジャパン)の中では《結局のところ、私は「小説家で

ありたい」とだけ思っていて…》と語っていた。小説の力を見つ

め、小説にできることを考えている姿勢が、温和な口調のなか

にも、しっかりと伝わってくる。

「私にとって、人間というのはどこかいびつなものを持っている

ものであって、リアリティーのあるいびつさに行き当たれるかど

うか。小説は、そのいびつさを磨き上げていかなきゃなんない

面倒さはありますが、いびつさが分かる、と自分として思えたら、

おもしろい小説なのだろうと思います」 (久間木聡)

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