書籍・雑誌

10/20春秋社より吉本隆明著『第二の敗戦期 これからの日本をどうよむか』刊

10/20春秋社より吉本隆明著
『第二の敗戦期これからの日本をどうよむか
2008年初夏、友人の皆川勤氏が4回にわた
り著者にインタビューしたものがようやく日の
目をみました。1.現代社会の背景 『アフリカ
的段階について』以後をめぐって 2.戦争と転
換 シモーヌ・ヴェイユの場所 3.第二の敗戦
期とはなにか? 現代社会を生き抜く考えと言
葉 たいへんわかりやすく読みやすく自分た
ちの置かれている現状を、目から鱗に展開し
た吉本さんの遺言。遅読の私でも2時間で独
了。当時、皇国少年だった吉本さんの満州国
に対する考え方に今頃感心しています。
1575円のお金がない方は近くの図書館に
リクエストしましょう。
Dscn0638

| | コメント (0) | トラックバック (0)

松岡正剛『連塾-方法日本 フライジャルな闘い―日本の行方』

㈱春秋社刊 松岡正剛著

連塾-方法日本Ⅲ 

フライジャルな闘い―日本の行方』

これまで当ブログ2009/02/03(連塾-方法日本Ⅰ)

と、2010/01/12(連塾-方法日本Ⅱ)と紹介してきた

ものの最終回が間もなく刊行される。

「なぜ日本人は喪失をもって面影としてきたか」日本

人は「喪失」を媒介にして本来の面影を想うというこ

とが多いのはなぜか(本文より)

秀吉の時代から徳川の世へ、<水戸学・水戸イデ

オロギー>から明治維新、大正から昭和史へとふ

みこむ松岡の日本論。後で詳しくと置かれてしまっ

た<水戸学・水戸イデオロギー>への松岡の想い

をぜひ詳しく知りたい・・・

フラジャイルな闘い 日本の行方 (連塾 方法日本) Book フラジャイルな闘い 日本の行方 (連塾 方法日本)

著者:松岡 正剛
販売元:春秋社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

関鉄之介の記念碑建立(村上新聞11/6より)

関鉄之介の記念碑建立(村上新聞11/6より)

桜田門外ノ変【DVD】 DVD 桜田門外ノ変【DVD】

販売元:東映
発売日:2011/04/21
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「桜田門外ノ変・烈士 関鉄之介就縛の地」

という石碑が、新潟県関川村湯沢の鉄之介が最後

に捕縛された温泉宿「田屋」にほど近い松岳寺の境

内に建てられ、10月23日除幕式が行われた。村上

新聞によれば、除幕式に水戸から訪れた者はいな

かったようだ。

鉄之助は吉村昭『桜田門外ノ変』によれば痔主(

じぬしとは言わないか?)で、福井・鳥取・京都さらに

西方迄で駆け巡るのにかなり痔に悩まされ、途中

の宿での長逗留を余儀なくされたとある。

桜田門外ノ変〈上〉 (新潮文庫) Book 桜田門外ノ変〈上〉 (新潮文庫)

著者:吉村 昭
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

たまたま新潟県村上市の村上新聞(http://m-news.jp)

の所在を「内田樹の研究室」

http://blog.tatsuru.com/2011/10/29_0940.phpでしり、

取り寄せてみて、この記事を見つけた。

また茨城県久慈郡大子町の袋田温泉には、関鉄之介

の歌碑が建てられている。

また郷土史家の著作の中に、関鉄之介の親戚宅が

城東にあり、桜川にかかる石垣橋にその親戚の誰ぞが

諸生党(保守派)によって逆さ吊りにされ(1864年、門外

ノ変の4年後)、切り殺されたとあった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義

オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義 Book オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義

著者:大田 俊寛
販売元:春秋社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

<いただきもの>

著者は新進気鋭の宗教学者で、先週の

週刊文春の書評欄で立花隆が激賞しています。

《アマゾンのレビューより転載》
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 オカルトファンにはたまらないオウム真理教という名のごった煮スープ, 2011/4/17
By
Gori "the 11" (東京都) - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)    (トップ500レビュアー)   
レビュー対象商品: オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義 (単行本)
オウム真理教の思想はどのような経緯で形成されて行ったのか。
キリスト教の異端思想の研究家である宗教学者が書いた本である。
かの教祖にそのような学習の跡が見えるかどうかは別にして、その経緯には
オカルトファンにはたまらない、と言って語弊があるなら、
オカルト的なものがなぜ、どのように、人々に受け入れられて行くものかについての興味のある人には、
あっと驚く(さもありなんという)人の名が次々に登場する。
かの尊師(グル)は、きっと『ムー』の愛読者だったんだろうなあ。
・メスメルの動物磁気
・「反キリスト者・神は死んだ」のニーチェ
・ブラヴァツキー夫人の神智学
・ニューエイジ思想
・トランスパーソナル心理学
・フロイトの精神分析
・フリーメイソン陰謀論
・日ユ同祖論
・ユングの精神分析
・ヒヒイロカネ
・酒井勝軍(さかいかつとき)
・キリスト教原理主義
・ノストラダムスの大予言
・ニーチェとマックス・ウェーヴァー
・ヒトラーと『我が闘争』
・阿含宗の桐山靖雄(きりやませいゆう)
・ヤマギシズム
・精神科医川尻徹の『滅亡のシナリオ』

本書には登場しないがオウムはニコラ・テスラの地震兵器も見に行っているのである。

となると、オウム真理教はあらゆるオカルトを流し込んだごった煮スープであった。
ということになるのである。
そういう事を理解する意味でも、本書は非常に価値が高い。
レビューを評価してください
このレビューは参考になりましたか? はい いいえ

8 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 オウム的なものの系譜学, 2011/3/29
By
ソコツ - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)    (トップ50レビュアー)   
レビュー対象商品: オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義 (単行本)
従来の学問的研究はオウム真理教を適切に論じてこなかった。という挑発的な構えから、オウムという戦後宗教史の大問題が発生してくる思想史的なバックグラウンドを論じた非常に興味深い著作である。著者はキリスト教思想史を専門とする気鋭の宗教学者。いわく、オウムはよくいわれるような1970・80年代日本の精神状況の産物ではなく、キリスト教の「鬼子」である「近代」における「宗教」のもつ構造的な「歪み」から生まれてきた、ある種の必然性すら有する申し子である。
ロマン主義・全体主義・原理主義。オウムはこの三要素から説明可能であると著者は断じる。そして、この三つの系譜に属する思想や運動を近現代史のなかからピックアップし、その変遷を辿りながら、オウム以前におけるオウム的な心性の発露の展開を跡付け、考察していく。込み入った言説たっぷりの対象を手際よく整理し分析する著者の堅実な文章により、オウムの特異性とされるものが実は近現代史にありふれた現象や思惟であることがだんだんとわかってきて意義深い。
本書がオウム論の新境地を切り開く力作であることは間違いない。だが、こうしたスタンスがオウム研究にとって生産的な行き方かといえば、疑問である。少なくとも、あの宗教は何であり、なぜあのような事件が起こってしまったのか、という問題を解明するためには、オウム教団の布教・教化や活動・犯罪の実態と、それを時に面白がり時に非難する社会との交渉を、できる限りの資料収集に基づき考えていく必要があるだろう。著者はオウム事件により躓いた宗教学の再構築を志すというが、本書が試みているようなアームチェア宗教学の視野狭窄こそが、宗教学がオウムの危うさを見抜けなかった元凶のひとつではないだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『自壊社会からの脱却 もう一つの日本への構想』

神野直彦・宮本太郎編

水野和夫・植田和弘・駒村康平・濱口桂一郎

・阿部 彩・広田照幸・高端正幸

自壊社会からの脱却――もう一つの日本への構想 Book

自壊社会からの脱却――

もう一つの日本への構想

販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 ★第5章 阿部 彩 

 ユニバーサル・デザイン社会の提案

  ー「貧困」と「障害」を結ぶ社会保障ー

ユニバーサル・デザインといっても、もののデザイ

ンではなく社会のシステムのデザインである。

「障害学」という言葉も耳新しい。

本書に従って広い意味で言えば、ピョン太文庫で

続けている「中高年・初心者向けパソコンサロン」

は、ユニバーサル・デザインそのものだ。めいめい

の参加者の習得具合によって、講師が教えている。

教える方は手間がかかって大変だし、教わる方も

参加者が多い時は質問するのに苦労するが、とに

かく長続きしているということは、その良さが参加す

る人たちから認められているからだろう。パソコン

教室を何箇所か巡ってたどり着く人もいる。

面倒でも各々の人たちの希望要望を聞いて、その

問題のひとつひとつの解決に資する力になれる発

想、そういった考え方が世の中のシステムとして一

般化され、当たり前にものごとを考えるときの先に

立つような社会になれば、救われるのだが。強い

立場の人や忙しい立場の人は物事をすぐに自分

に即して、自分にやりやすいように変化させてしま

うことが上手で、そこに相手の立場は存在しない。

生活保障 排除しない社会へ (岩波新書) Book 生活保障 排除しない社会へ (岩波新書)

著者:宮本 太郎
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書) Book 子どもの貧困―日本の不公平を考える (岩波新書)

著者:阿部 彩
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

芥川賞受賞・西村賢太『苦役列車』

朝日新聞で唯一の楽しみは、毎週土曜日be版の

月1回まわってくる車谷長吉さんの人生相談・身の

上相談?のコーナーだ。いつもの調子、氏の答え

はわかっていても面白くて読まずにはいられない。

私小説作家(このところ私小説は書くのをやめてい

るようだが)車谷さんの作品には同じ話が何回も手

を変え品を変え出てくるが、先日芥川賞を受賞した

私小説家・西村賢太の作品にも、大正時代の文士

・藤澤清造と没後弟子の自分、そしてもてない男・

自分にやっとできた彼女(女)の話が、いろいろな

作品に何回も書かれている。図書館で今回の受賞

作『苦役列車』を借りて読もうとすると、予約が何十

人も前にいて、半年後に読めるかどうか心配だ。

意外にもと言っては西村氏にたいへん失礼だが、

氏にはこれまでに何作も出版された作品があり、

芥川賞の候補にも2回なっていて今回3回目の候

補での受賞。それら下に並べた受賞作以外の作品

群は、図書館からすぐに借りて読むことができた。

芥川賞の賞金やその後に期待される印税によって

、西村氏による藤澤清造全集が刊行され、退屈極

まりないと作品中に書かれている藤澤の『根津権現

裏』をぜひ読んでみたいものだ、もちろん図書館に

リクエストして・・・

苦役列車 Book 苦役列車

著者:西村 賢太
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

暗渠の宿 (新潮文庫) Book 暗渠の宿 (新潮文庫)

著者:西村 賢太
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

どうで死ぬ身の一踊り (講談社文庫) Book どうで死ぬ身の一踊り (講談社文庫)

著者:西村 賢太
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 人もいない春 人もいない春
販売元:セブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)
セブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)で詳細を確認する

 小銭をかぞえる 小銭をかぞえる
販売元:セブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)
セブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)で詳細を確認する
 瘡瘢旅行 瘡瘢旅行
販売元:セブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)
セブンネットショッピング(旧セブンアンドワイ)で詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (1)

黒岩比佐子著『パンとペン』

感動の労作!!!

黒岩比佐子著『パンとペン』

パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い Book パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い

著者:黒岩 比佐子
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

昨年11月に、著者は10冊の労作を残して

52歳の働き盛りに、膵臓ガンの闘病生活にも

ピリオドをうった。彼女のブログ(古書の森日記

http://blog.livedoor.jp/hisako9618/archives/51914967.html

)

は、亡くなって以降も書き継がれている。

明治・大正・戦前の昭和に発行された雑誌・書

籍の膨大な森に分け入って、これまで大手の

メディアによって無視されてきた歴史的事実の

細部を、分かりやすくしかも面白く読ませてく

10冊の著作とともにぜひご覧ください。

編集者 国木田独歩の時代 (角川選書) Book 編集者 国木田独歩の時代 (角川選書)

著者:黒岩 比佐子
販売元:角川学芸出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

戦争絶滅へ、人間復活へ―九三歳・ジャーナリストの発言 (岩波新書)

Book 戦争絶滅へ、人間復活へ―九三歳・ジャーナリストの発言 (岩波新書)

著者:黒岩 比佐子,むの たけじ
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

古書の森逍遙—明治・大正・昭和の愛しき雑書たち Book 古書の森逍遙—明治・大正・昭和の愛しき雑書たち

著者:黒岩 比佐子
販売元:工作舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する

『食道楽』の人 村井弦斎 Book 『食道楽』の人 村井弦斎

著者:黒岩 比佐子
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

今週の絵本交流館・ピョン太文庫「名作映画・無料鑑賞会」は

今週の絵本交流館・ピョン太文庫

「名作映画・無料鑑賞会」は

『バベットの晩餐会』

バベットの晩餐会 (ちくま文庫) Book バベットの晩餐会 (ちくま文庫)

著者:イサク ディーネセン
販売元:筑摩書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

日本語字幕入りのDVD(又はVHS)を只

今探しております。見つからないときは

英語版でご覧いただきます。英語版でも

十分映画の雰囲気は楽しめますので。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『沖縄の真実、ヤマトの欺瞞ー米軍基地と日本外交の軛』

<いただきもの>

春秋社刊『 沖縄の真実、ヤマトの欺瞞

         ー米軍基地と日本外交の軛 

沖縄の真実、ヤマトの欺瞞 米軍基地と日本外交の軛 (神保・宮台 マル激トーク・オン・デマンド) Book 沖縄の真実、ヤマトの欺瞞 米軍基地と日本外交の軛 (神保・宮台 マル激トーク・オン・デマンド)

著者:神保哲生,宮台真司,真喜志好一,伊波洋一,大田昌秀,我部政明
販売元:春秋社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

普天間問題が暴いたのは、日本という国の機能不全

沖縄にのしかかる米軍基地の負担と苦しみ。第二次大戦で

地上戦の舞台となり、戦後は米軍の統治下に置かれ、歴史

に翻弄されてきた沖縄に、いまなおこれほどの犠牲を強いる

ことは正義に適うのか?沖縄出身の論客をゲストに迎えて、

沖縄の現状と歴史を確認し、日本の奇怪な外交政策や政治

と官僚の歪んだ関係を徹底討論。ヤマトは沖縄を差別してい

るのか?海兵隊基地の辺野古移転計画の欺瞞をいち早く

指摘した真喜志好一氏、普天間飛行場を抱える宜野湾市の

伊波洋一市長、沖縄の苦難の歴史の生き証人にして、普天

間飛行場返還合意当時の沖縄県知事・大田昌秀氏、日米密

約の存在を暴いた琉球大学の我部政明教授をゲストに、

沖縄の現実と米軍の戦略を問い、日本の安全保障政策の

袋小路と日本人の奇妙な意識構造を暴いて、新たな外交

戦略の可能性を示す。・・・表紙から

| | コメント (0) | トラックバック (0)

橋本 治の「昭和三部作」

巡礼 Book 巡礼

著者:橋本 治
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

橋 Book

著者:橋本 治
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

リア家の人々 Book リア家の人々

著者:橋本 治
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

水戸市立図書館に3点とも蔵書していますので、

皆さんぜひお読みください。もちろん買ってお読

みいただければ著者のためにも。

私はなぜか「リア家・・・」がもっとも早く図書館で

用意されたので、そこから「巡礼」へ読み進み、

現在「橋」を読みだしたところです。

「リア家」で1968年前後の話では涙も出てきまし

た。三女の彼氏(石原君)など自分も含めて、

身に覚えあり。

以下ネット上にあった東京新聞から拝借しました。

東京新聞【土曜訪問】・・・転載

リアルないびつさ求め 

   

   昭和の日本人を描く

 

     橋本治さん(作家)

2010年8月14日

 先月末に出た作家橋本治さん(62)の最新作『リア家の人

々』(新潮社)は、題名にとったシェークスピアの『リア王』の

ように、父親と三人の娘たちをめぐる物語である。

 王の代わりを果たすのは一九〇八(明治四十一)年生まれ

の文部官僚。軍国教育に関わったとして公職追放になり、復

職を果たすものの妻は癌(がん)で亡くなる。上の娘二人は

父への愛憎を抱えながら結婚。末娘は父の世話をしながら

大学に。全共闘運動が盛り上がる六八年の十月、還暦を迎

えた父は政府の「明治百年記念式典」に出席。ほどなく末娘

の就職が決まる-。

 時代のうねりや、変わっていく家族のかたちに抗(あらが)

うすべを持てないまま、いつしか自分の意見を言うことがで

きなくなり、寂しさを抱える一人の男。その人生の軌跡は、

読む側に多くのことを考えさせる。

「私のなかでは、この六八年ごろに、ひとつの時代が終わっ

たという意識があるんです。家族のかたちとしてあったものが、

もやの中ですーっと解体されていって、それが実は家族の外

の世界でも、ひとつの変化だったという感じを、小説で出した

かった。七〇年に入ると別の時代がきているという感覚があ

るので。小説に即して言えば、三人の娘たちはウーマンリブ

という単語を知らないで生きているが、七〇年からウーマン

リブ運動が始まるんです」

 取材場所に指定された新潮社内の会議室で、小説の下地

になっている時代への皮膚感覚を話してくれた。

 物語の中心に据えられた一九六八年。現代史の転換点の

一つだったその年は、このところ「1968」として様々なジャン

ルで注目され、出版も相次いだ。その当時、東大二年の橋本

さんが生み出した「駒場祭」のポスターのキャッチコピー<とめ

てくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大

どこへ行く>が流行語になった年でもある。

 大学紛争が激しさを増すなか、全国各地で入試が中止にな

り、六九年一月には東大の安田講堂事件もあった。そうした

史実が、小説では感情を交えない冷徹な筆致で描かれている。

「シェークスピアの『リア王』では実は、王がほっぽり出されて

嵐の中をさまよっているシーンが、けっこう長いんです。でも小

説の設定を日本に置き換えた場合、一個人を追い詰めてしま

う精神的な象徴って何だろうと考えたとき、ああ全共闘かと思

い当たったんです」

 ごみ屋敷で暮らす老人を通して戦後日本の断面を描いた

『巡礼』(新潮社)が昨年夏に刊行されたのに続き、ことし初め

には、実際にあった殺人事件をもとに二人の女性を描いた

『橋』(文芸春秋)が出た。ともに、昭和という時代を生きる日本

人に焦点を当てているという点で、今回の『リア家』と合わせ

「昭和三部作」とすることもできる。

「一年ちょっとの間に書いた三作だから、まあ、似ちゃっている

のもしょうがないかなとも思うんです。もしかしたら先があるか

もしれません。ただ『巡礼』を書き終わった後に、『橋』と『リア家』

の構想があったことだけは確かです」

 著者としては、『橋』は『巡礼』と『リア家』の接着剤なのだとい

う。「じいさん、女の話と続いて、最後はじいさんと女の話ですか

らね」。いたずらっぽく笑いながら解説した。

 小説のほかの仕事としては、ことし四月に「失われた近代を

求めて」と題したシリーズの第一巻『言文一致体の誕生』(朝日

新聞出版)も出た。橋本治流の文学史論である。

「小説を書くための特別な取材みたいなものを、ほとんどしな

いんです。小説ではない仕事の調べものがいわばフィールド

ワークになっていて、そういう本になっているんです」

 一月に出た、六人を相手にした対談集『TALK』(武田ランダ

ムハウスジャパン)の中では《結局のところ、私は「小説家で

ありたい」とだけ思っていて…》と語っていた。小説の力を見つ

め、小説にできることを考えている姿勢が、温和な口調のなか

にも、しっかりと伝わってくる。

「私にとって、人間というのはどこかいびつなものを持っている

ものであって、リアリティーのあるいびつさに行き当たれるかど

うか。小説は、そのいびつさを磨き上げていかなきゃなんない

面倒さはありますが、いびつさが分かる、と自分として思えたら、

おもしろい小説なのだろうと思います」 (久間木聡)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧